「薄毛は、止まったらゴールじゃない」——23歳から順番を間違えた美容師の話|春日市FALAP

「薄毛って、結局どうすればいいんですか」——カットの合間に、この質問は本当によく受けます。先に書いておくと、僕自身も23歳ごろから同じ悩みを抱えてきた当事者です。ただ、この記事は「生えたかどうか」の話ではありません。何を試して、どこで順番を間違えて、いま何を思っているか。春日市のメンズサロンFALAP、店長・拓朗(美容師歴20年以上)が、自分の話として書きました。
この仕事を20年以上やっていると、同じ悩みを抱えた大人の男性に、本当によく会うんですよ。
そして実は——
僕自身も、その一人でした。
— 30秒でわかる4コマ —

「だんだん」だから、人は動けない
たぶん、あなたも似た入り方をしているんじゃないかなと思います。
最近、トップのボリュームが出なくなってきた。
鏡を見たとき、ふと老けた気がした。
朝セットしても、夕方にはペタンとする。
どれか一つでも思い当たるなら、いま誰にも言えない不安を抱えているはずです。
僕も、まったく同じでした。
ただですね、「ある日、鏡の前で固まった」みたいな瞬間は、なかったんですよ。
だんだん、だんだん、です。
朝、いつもどおり前髪を上げる。その手ごたえが、少しずつ変わっていくんです。抜け毛も増えました。でもそれより、「毛が細くなってきたな」という感覚のほうが先でした。
もともと、くせのある髪でした。そのくせが強くなってきて、前髪のコシが落ちていったんです。
23歳ごろの話です。美容師なのに、自分のことが一番わかっていませんでした。
この「だんだん」が、けっこう厄介でしてね。昨日と今日で差がないので、今日決めなくていい、明日でいい、になるんです。
しかも、口に出しにくいんですよね。言った瞬間に「気にしすぎだよ」で終わるので。
だから僕も、誰にも相談しませんでした。
そこから僕は、2年間、間違え続けます。
「薄毛に効くシャンプー」を探し続けた2年間
23歳で気づいてから、25歳でクリニックに行くまでの2年間。僕はひたすら、シャンプーを探していました。
日本にいた最初の1年は、ドラッグストアです。「育毛」と書いてあるものを、片っ端から。1本使い切るたびに「次こそは」と思って、また新しいのを買って。

そして24歳のころ、僕はオーストラリアに渡ります。現地の美容室で、美容師として働くためです。結局、4年半ほど向こうにいました。
なので、この2年の大半は、日本にいないんですよ。
で、ここで出てきたのが水の問題です。
オーストラリアは硬水なので、髪が硬くなって、ガサガサになる。髪質そのものが、多少変わりました。
働いていたのは日系のサロンだったので、店のシャンプー自体は良いものでした。ただ、僕が欲しかったのはそれじゃないんです。「育毛」とか「ボリューム」をうたう、薄毛のためのシャンプー。それは向こうには置いてありませんでした。
だから家のパソコンでGoogleを開いて、気になったものを探して、日本から送ってもらう。それ専用の買い方をしていました。
当時はスマホもSNSもないですからね。出てくるものの多くは広告でした。
広告ばかり見ているから、余計にまっすぐ騙されにいく。
「髪が生える」と大きく打ち出す会社も、何社もありました。道は「クリニックに行くか、シャンプーを続けるか」の二択にしか見えなかったんです。
テレビでよく見かける人たちが「生えた」と言っているシャンプーにも、もちろん乗りました。
でも、鏡に映る自分は変わらなかった。
僕の場合は、何も起きませんでした。
あとになって、あの人たちはシャンプーだけじゃなかったらしい、と知ります。本当のところは確かめようがないですけどね。あのころ大きかった会社の看板も、いまは「増毛」のほうに変わって見えます。理由は、僕には分かりません。
はっきりしているのは、ひとつだけです。僕がシャンプーだけで2年粘って、何も変わらなかった。
頑張りが足りなかったわけじゃないんです。頑張る場所が、違っていたんです。
それに気づいたのは、2年たってからでした。
クリニックのドアの前で、僕は一回止まりました。
僕が25歳で選んだ順番(ここは医療の話です)
ここから先は、僕が医師から説明を受けて理解している範囲の話です。美容師が医療の話をするので、そのつもりで読んでくださいね。
25歳のころ、日本に帰ったタイミングで、僕はそのドアを開けました。
そこで出されたのが、フィナステリドという成分の入った薬でした。当時はプロペシアという名前の薬です。それを、そのまま飲み続けました。
そのあとで分かったんですが、父も同じ成分の薬を飲んでいたんですよ。父のほうはジェネリックで、値段が安い。それで僕も、そちらに切り替えました。
同じ道を通った人が身内にいたのは、正直、大きかったです。
それから、もう17、18年になります。
飲み始めて半年くらいで、手ざわりが変わったのを覚えています。僕の場合は、進行が止まったというのが実感です。
薄毛の進行に対して、医学的に有効性が確認されているのは、いまのところ治療(薬)だけだと僕は理解しています。
「薬は怖い」も、よく分かります
副作用がゼロというものではありません。何がどう出るかは人によるので、そこは必ず医師に聞いてください。
僕が言えるのは、ひとつだけなんです。
漠然とした不安で避けるんじゃなくて、知ったうえで自分で選ぶ。それができたら、あとはどっちを選んでもいいと思っています。
ここまでが、医療の話です。
進行が、止まった。
多くの人は、ここで安心します。僕も安心しました。
でも——
「止まったら終わり」じゃない。そこがスタートラインです
ひとつ、美容師として言わせてください。
「薄毛さえ止まれば、それでいい」と思っている方、けっこういるんですよ。気持ちは、痛いほど分かります。僕もそうでしたから。
でも、そこはゴールじゃありません。
スタートラインに、立っただけ。
最近、「子どもが生まれました」と、嬉しそうに話してくれた方がいました。ものすごく嬉しい話です。でも、生まれた日で終わりじゃない。そこからが本番ですよね。
髪も、同じだと思っています。薄毛が止まった日から、見せ方のほうが始まるんです。
本数は守れていても、細くてコシがない。セットしてもすぐ潰れちゃう。それだと、周りからの印象は変わらないんです。
むしろ、「髪はあるのに、なんか老けて見える…」——うちに来られる方から、実際に出てくる言葉です。
本当に欲しいのは、たぶん本数じゃない
本当に求めているのは、たぶん「毛を増やすこと」そのものじゃないんです。もっと深いところにある『自分がどう見られたいか』という評価だと思うんです。
- 若々しく見られたい
- 仕事で「信頼できる人」に見られたい
- 久しぶりに会う人から「なんか若返った?」と言われたい
だから僕は、ここだけは言い切ります。
『髪が“生える”こと』と、『かっこよく見えること』は、全くの別問題です。
薄毛が止まることは、通過点でしかありません。
順番にすると、こうです。薬で止め、ケアで魅せる。止めるのは医療の仕事で、魅せるのは質感の仕事です。
スタイルをつくるのは美容師です。でも、その素材力を高められるのは、あなただけです。
では、その素材は、どこでつくられているのか。
特別なところじゃありませんでした。
止める、整える、魅せる
僕がたどった順番は、結局この3つでした。
- 止める——体の内側で起きていることは、医療に預ける
- 整える——毎日の洗い方と乾かし方で、素材を守る
- 魅せる——その素材を、美容師が形にする
素材をつくっているのは、2番の毎日なんですよ。特別な道具も、特別な時間もいりません。洗い方と乾かし方は、別の記事にまとめています。

23歳の僕は、2番から入って、2年をなくしました。
ただ、17、18年やってきて、いちばん思うことは別にあるんです。
まとめ:数えているのは、髪の本数じゃない
この記事の要点
- 気づき方は「ある日突然」じゃなくだんだん。だから先送りになる
- 23歳から2年シャンプーを探した(大半はオーストラリア)。僕の場合は何も起きなかった
- 25歳、日本に帰ったタイミングでクリニックへ。いま17、18年。僕の場合は、進行が止まった
- 止まったところはゴールではなくスタートライン。薄毛の解決は通過点
- 順番は、止める・整える・魅せる
よくある3つの質問
Q結局、何から始めればいいですか?
Aまずは、体の内側の話を一度プロに見てもらうこと。次に、毎日の洗い方と乾かし方。最後に髪型です。2番目から始めると、僕みたいに時間を使いますよ。
Qまだそこまで気にならないんですが、早すぎませんか?
A「だんだん」なので、気になってからだと、もう少し進んでいることが多いです。僕は2年待ちましたけど、その2年は正直、惜しいです。ただ、いつ動くかを決めるのはご本人ですからね。
Q美容師には、どこまで聞いていいものですか?
A髪と頭皮の見え方、髪型でどこまでカバーできるか、家でのケア。ここは遠慮なく聞いてください。薬の話は「自分の場合はこうでした」までです。
結局、悩みの本当の中身は、髪そのものよりも『自分に対する評価』と『自信』なんだと思います。
髪が何本あるかを数えている人は、たぶんいません。数えているのは、鏡の前に立ったときの気分のほうです。
その気分は、止まった日からつくり直せます。少なくとも僕は、そう思ってこの17、18年をやってきました。
春日市のFALAPは、JR大野城駅・西鉄白木原駅が最寄りです。カットのついでに「これ、どう見えてます?」で大丈夫ですよ。
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