「親父と同じ仕事をするつもりなんて、なかった」——それでも僕が理容に戻った理由|春日市FALAP

「親父と同じ仕事をするつもりなんて、なかった」——いや、正確には避けていました。それでも今、僕は理容師と美容師の両方の免許を持って、親父と同じ店に立っています。戻ってきた理由は親子の情の話ではなくて、技術の話です。ひとつは、シェービングの価値に歳を取ってから気づいたこと。もうひとつは、その技術を持つ理容師が静かに減り続けていること。そのまま書きました。
親父と同じ仕事をするつもりなんて、最初はなかったです。
いや、正確に言うと——避けてました。
それが今は、理容師と美容師の両方の免許を持って、春日で親父と同じ店に立っている。自分でも、よく戻ってきたなと思います。
ただ、この話に「やっぱり親子だよね」みたいな要素は、あんまりないです。戻ってきた理由は、もっとはっきりした技術の話でした。
— 30秒でわかる4コマ —

実家は「理容室」じゃなかった
うちの実家は、父が理容(メンズ)を、母が美容を、同じ店の中で分けてやっているサロンでした。
理容だけの家じゃなかったんです。だから僕が子どもの頃から見ていたのは、ひとつの店の中に理容と美容が並んでいる景色でした。
これ、今のFALAPとほとんど同じなんですよね。理容と美容を融合させる、みたいなことを僕が思いついたわけじゃなくて、原点はもう実家にありました。
じゃあ、なぜ僕は美容を選んだのか。理由は、もっと個人的なところにありました。
それでも僕が、美容の道を選んだ理由
父(MASTER 義晴)は、昔コンテスターでした。
コンテストにたくさん出ていて、家には常に優勝トロフィーや賞状が飾ってありました。カットでも優勝したり、人前で講習をしたり。アイパー(アイロンパーマ)は、遠くからわざわざ来てくれるお客さんがたくさんいました。子どもの目から見ても、単純に「すごい人」です。
で、問題はここからで。
大会に行くたびに、こう言われるんですよ。
「息子さんですよね」
悪気なんて、もちろんないです。ただ、比較されるのが嫌でした。同じ土俵に上がったら、ずっと「義晴さんの息子」のままな気がした。だから僕は理容じゃなくて、美容を選びました。
戻ってきた理由①:シェービングという時間
美容の世界でカラーもパーマも覚えて、ヘッドスパも身につけました。楽しかったです。
それでも最終的に僕を理容の側へ引き戻したのは、技術ひとつでした。
シェービングです。
白状すると、若い時の僕は「シェービングなんて必要ない」と思っていた側です。わざわざお金を払って剃ってもらうものだとは思っていなかった。
でも、年を重ねるにつれて見え方が変わりました。
男性は歳を取るほどヒゲが濃くなるし、そのままにしていると清潔感がなくなっていく。自分の顔でも、お客さんの顔でも、同じように感じたことです。
その中であらためてシェービングという時間を見ると、価値がまるで違って見えました。
椅子に身を預けて、力を抜いて、顔を剃ってもらう。すごく気持ちよくリラックスできて、お顔も剃れて、清潔になって帰れる。この空間、めちゃくちゃいいな。——そう思ったんです。
髪だけ切って終わるのと、剃るところまでやるのとでは、帰るときの顔が違います。美容の側に長くいたからこそ、その差がはっきり見えたのかもしれません。
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戻ってきた理由②:理容師が、静かに減っている
もうひとつ、理由があります。こっちは、もう少し冷たい話です。
理容師が、静かに減っています。感覚で言っているわけではなくて、数字が出ています。
- 全国理容生活衛生同業組合連合会『理容統計年報』第55集(2021年)で、組合員の平均年齢は66.8歳。これは全理容師の平均ではなく、組合に加入している理容室を対象にした調査の数字です
- 理容師の数は約19.9万人。近年は毎年5千人規模で減り続けています
- 理容所(店の数)も、昭和61年をピークに減り続けている
年齢のほうを見てもらうと伝わると思うんですが、新しく理容師をやりたいという人が、とても少ないんです。
あまり知られていない、制度の壁
なぜ、そこまで入り口が狭いのか。ここは意外と知られていない話だと思います。
理容室として登録しているサロンは、理容師しか雇えません。逆に美容室は美容師のみ。保健所の検査も別々です。
つまり理容師の資格を取っても、働ける場所が理容室に限られる。結果として理容師を志す人は、基本、実家が理容室の人にほぼ限られます。
入り口がそこしかない仕事は、そりゃあ減ります。減る一方です。
こんなに素敵な技術を残したい。だから僕は、両方取った
技術って、道具みたいに倉庫にしまっておけないんですよね。
やる人がいなくなったら、その時点で消えます。誰も「終わりました」と宣言しないまま、静かに無くなる。
シェービングも、アイパーも、ミリ単位で刈り上げていく仕事も、そういう技術です。
僕は、それが嫌でした。
こんなに素敵な技術を残したい。だからこそ僕は、両方取った。
父から離れるために美容へ行った人間が、結局ここに戻ってきて、理容師免許と美容師免許の両方を持つことにした。理由はそれです。

両方あると、できることも変わります。カットも、カラーも、パーマも、シェービングも、ヘッドスパも、1か所で完結する。「カットは美容室で、顔剃りは床屋で」と使い分けなくていい。メニューの中身はこちらにまとめています。
親父の40年、僕の20年、千晴のケア
今のFALAPは、3人でやっています。この先どうなるかは分かりません。ただ今は、この形に収まっています。
MASTER 義晴(経験40年以上・現役)
さっき書いた、コンテスターの人です。今も現役で立っています。アイパーは遠くからわざわざ来てくれるお客さんがたくさんいますし、カットでもコンテストで優勝したり、講習をしたり——その積み重ねが、そのまま手に残っている感じです。
MANAGER 拓朗(経験20年以上)——僕です
骨格・髪質・ライフスタイルから逆算してスタイルを設計するのが専門です。特に40代以上の男性のボリューム感、薄毛対策、若々しい印象づくり。AGA当事者として、自分自身の頭皮と向き合ってきた経験がベースにあります。
CARE SPECIALIST 千晴(経験15年)
ヘッドスパとシェービングの専門です。肌と頭皮の状態を観察しながら、丁寧に施術します。「千晴さんのシェービングじゃないと」と指名してくれるゲストが、何人もいます。
親父とは、最初、意見が割れていました
親子だから最初からうまくやれていたか、というと、そんなことはないです。
最初は、意見が割れていました。ただ、ここまで約10年やってきて、割れることはほぼほぼ無くなりました。
今はもう、ほぼ僕がやりたいことをやらせてもらっている環境です。40年やってきた人が、それを許してくれている。ありがたいな、と思っています。
3人とも、やってきたことも強みも違います。でも、ゴールは一緒です。お客さんにイケオジになってもらって、生活を豊かにしてもらう。そこに向かって、3人が3人、違う技術で仕上げていく。それが今のFALAPです。
春日で、「ちゃんとした場」をつくりたかった
最後に、なぜこの場所なのか。
地元の春日は、ファミリー層が多くて、40代から50代くらいの男性がすごく多いエリアです。
だからこそ、ただ髪を切る場所じゃなくて、ゆったりリラックスできて、かっこよくなれる。その「ちゃんとした場」を提供したくて、今の形にしました。
髪を切って、顔を剃って、頭皮を整えて、「よし」と思って帰ってもらう。理容と美容を両方やっている意味は、そこだと思っています。
「で、結局そこは理容室なの?美容室なの?」と聞かれることがあります。僕の答えは、いつも同じです。
どっちでもあって、どっちでもない。FALAPはFALAPです。
FALAP(福岡県春日市)
- 福岡県春日市(春日野郵便局から徒歩1分/最寄りはJR大野城駅・西鉄白木原駅)
- 営業時間:平日 10:00〜19:00 / 土日祝 9:00〜18:00
- 定休日:毎週月曜・第3火曜
- 駐車場:4台
- ご予約:LINE / TEL 092-776-1006
この店の成り立ちについて、よくある5つの質問
Q理容室と美容室って、そもそも何が違うんですか?
A免許と、店の登録区分が違います。理容室として登録しているサロンは理容師しか雇えず、美容室は美容師のみ。保健所の検査も別です。顔を剃るシェービングは、理容の免許がないとできません。
Q自分はどっちに行けばいいのか、正直わかりません。
A顔まわりまで整えて清潔感を出したいなら理容の技術がある店、カラーやパーマの幅がほしいなら美容。ざっくり言うとその分け方です。両方ほしい方が多いので、うちは両方できる形にしました。迷ったらLINEで聞いてください。
Qシェービングだけでもお願いできますか?
Aシェービングのメニューはご用意しています。カットと一緒でも、顔まわりだけでも大丈夫です。内容はメニューページにまとめています。若い頃の僕は「必要ない」と思っていた側なので、その気持ちもわかります。ただ、年を重ねるほど効いてくる技術です。
Q本当に、親子でやっているんですか?
Aやっています。父が理容の技術で40年以上、僕が20年以上、千晴がヘッドスパとシェービングで15年。最初は父と意見が割れることも多かったんですが、ここまで約10年やってきて、ほぼ無くなりました。
Q場所と予約について教えてください。
A福岡県春日市、春日野郵便局から徒歩1分です(最寄りはJR大野城駅・西鉄白木原駅)。駐車場は4台。営業は平日10:00〜19:00/土日祝9:00〜18:00、定休日は毎週月曜と第3火曜。ご予約はLINEかお電話(092-776-1006)で。
まとめ:遠回りして、両方持って帰ってきた
この記事の要点
- 実家は理容室ではなく、父が理容・母が美容を同じ店で分けてやっていたサロン。理美容が同居する形の原点は実家にある
- 美容を選んだ理由は「息子さんですよね」と比較されるのが嫌だったから
- 戻った理由①シェービング。歳を重ねるほどヒゲは濃くなる。気持ちよくて清潔になって帰れる、あの時間の価値に気づいた
- 戻った理由②理容師の減少。組合員の平均年齢66.8歳(2021年)、理容師は約19.9万人で毎年5千人規模の減少。理容室は理容師しか雇えず入り口が狭い
- こんなに素敵な技術を残したい。だから両方の免許を取った
- 春日は40〜50代男性が多い街。ただ髪を切る場所ではなく、リラックスできてかっこよくなれる場をつくりたかった
親父と同じ仕事をするつもりは、本当になかったです。
でも、シェービングの価値に気づいて、理容師が減っていく数字を知って、それでも残したいと思った。だから両方取りました。順番で言うと、親子の話はいちばん最後にきます。
春日市のFALAP(最寄りはJR大野城駅・西鉄白木原駅)は、そういう成り立ちの店です。春日市・大野城エリアで「髪も顔も、まとめて整えたい」と思ったら、一度来てみてください。
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